こんにちは、苫小牧の土地家屋調査士、松本です。
今日は「越境物」について書きますね。
まず、ご自身の土地は範囲はどこまでかご存じですか?
土地の範囲を示す印を境界標といいます。
頭が十字になっているこんなやつですね。
この境界標がきちんと設置されている土地もあれば、最初から設置されていない土地、工事などで壊されてしまった土地など様々です。
ご覧になってくださっている貴方の土地にはきちんと「境界標」ありますか?
この境界標が土地の範囲を示す訳ですから、境界標と境界標を結んだ線がお隣との境界線ということになります。
お隣との境に塀や花壇などの工作物を施工する際は大抵この境界標より5㎝程話離して施工するのが一般的です。
お隣に越境しない様にですね。
ご自身の土地に境界標がきちんと設置されていて、その境界標に合わせて工作物を造れば問題ない!普通はそう思いますよね。
ですが、ここで問題があります。
その境界標が本当に正しい位置に設置されているのかということです。
家を建てるために土地を購入し、その際に境界の専門家である「土地家屋調査士」に測量してもらっている場合は問題ないでしょう、その境界標は正しい位置にあります。
ですが、何年、数十年と測量が行われておらず、昔から長年設置されている境界標は要注意です。
一つ一つの境界標は周りの数十点の境界標と同時に測量すると正しい位置にあるのか正しい位置からズレてしまっているのか分かります。
実際、新しく区画された土地でない限り数㎝ズレていることがほとんどで、ときには十数センチ、稀に30㎝以上ズレてしまっていることがあります。
どうしてズレているのでしょうか。
境界標と言えど長さ60㎝の石に過ぎません。
家を建てるための工事で重機が移動したり、塀を造るために掘削し一度抜かれて戻されたり、冬の寒さで凍れあがったり、地震でよれたり、隣のお爺ちゃんが…
その原因は様々でしょう。
そして問題なのはそのズレた境界標を正しい位置と認識して塀等の工作物を造った場合です。
現状では正しい位置に造作した様に見えても、お隣で測量した際に「お宅の塀がうちに出てますよ、直して頂けますか?」なんてことに成り得るのです。
正しいと思っていた境界標が実はズレていた、しかもそのズレた境界に合わせて工作物を施工しているのでお隣に越境してしまっている。
これはよくある現実です。
では、いざそうなったときにどう対処すべきでしょうか。
ここで一つ問題となるのが、「占有権」や「時効取得」です。
難しい話ですので詳しく説明することは割愛しますが、要は今まで私が使っていたのだから私の土地だと主張し隣地と争う姿勢を示すことです。
最終的には裁判にいきつくことでしょう。
膨大な時間と費用を費やすうえに自分の主張が通るとも限りません。
越境問題と言ってもその態様は様々で全てひっくるめてその対応をアドバイスすることは不可能です。
ですが、隣地との問題に限らず、他人と主張が異なるときには争う姿勢で臨むのではなく、円満に解決する方法を選ぶ方が得策だと私は思います。
境界問題にしても、土地家屋調査士が平等な立場で調査・測量して正しい境界を示したのであれば、そこが正しい境界です。
昔から正しいと思っていた境界標がズレていたなんていうのはすぐには受け入れなれない現実かも知れませんが、お隣さんと末永く良いお付き合いを維持するためにも、
正しい境界を認めて然るべき対応をして頂くのが得策です。
ズレていた境界標はそのままではずっと問題を抱えたままです。
お隣の費用で測量してもらい正しい位置に直して頂けるならば御の字です。
次にお隣となにか協議するときに頼み事をするのは貴方の側かも知れません、そのときに以前に境界の確認を断っていたら、こちらの頼みを聞いてくれる訳がありませんよね。
少し論点もズレてしまいましたが、境界標は設置されていてもそこが正しい境界とは限りません。
まして、境界線上に工作物を施工するのであれば、それこそ土地家屋調査士に依頼して境界が正しいか確認することで後顧の憂いを断つことができますね。
今日は「越境物」のお話でした。
苫小牧市 松本土地家屋調査士事務所
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